こんにちは。ぽてとです。今回はアラサー女性におすすめ!窪美澄の「水やりはいつも深夜だけど」を紹介します。
著者:窪美澄氏について
東京都稲城市生まれ。カリタス女子中学校、カリタス女子高等学校卒業。実家は代々酒屋だったが父親が自己破産したこともあり、短大は中退。その後、広告制作会社勤務を経て、出産後フリーランスの編集ライターとして働く。妊娠、出産、子育て、女性の体と健康を中心にすえ、占星術、漢方などをテーマに、書籍、雑誌、webの世界で活動。 2009年「ミクマリ」で第8回R-18文学賞大賞を受賞し小説家デビュー。2011年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』(新潮社)で第24回山本周五郎賞受賞、第8回本屋大賞第2位。同作はタナダユキ監督により映画化され、第37回トロント国際映画祭に出品された。2012年、『晴天の迷いクジラ』で第3回山田風太郎賞受賞。2018年、『じっと手を見る』で第159回直木賞候補。2019年、『トリニティ』で第161回直木賞候補、第36回織田作之助賞受賞。-Wikipediaより-
6つの短編でサクッと読める
「ちらめくポーチュラカ」「サボテンの咆哮」「ゲンノショウコ」「砂のないテラリウム」「かそけきサンカヨウ」「ノーチェ・ブエナのポインセチア」の6つの短編から成っており、男性目線と女性目線と半々。文体に癖がなく、すっきりとしていて読み進めやすいです。
アラサー女性に特におすすめ
6つの短編のうち4編は子育て世代の男女が主人公です。ママ友同士の関わり合い、慣れない子育てやギクシャクしてしまう夫婦間の空気、将来に対する展望―。ちょうどアラサー世代には共感できる内容なのではと思いました。ぽてとは独身ですが、もし自分が家庭を持っていたら…と想像しながら、登場人物に同情したり、突っ込みを入れたりしながら楽しみました。
様々な家族の形と、植物
6編の作品では、主人公を通して様々な家族とその周囲の様子が描かれます。いじめ、女の嫉妬、SNS、共働き、支援学級、浮気、離婚、嫁姑問題、…どれも、現代を生きていく上で珍しい話ではありません。だからこそ、登場人物の行動や言動にリアリティがあります。そして、どの話にも必ず植物が出てきます。まるで主人公の心情を表すかのように、ただし、ひっそりと。
【共感】誰も悪くないのにうまくいかない
この短編集には「悪人」が出てきません。でも、立派な「善人」もいません。皆何かしらの悩みを抱えながら生きている。「わかってほしい」という気持ちが爆発したり、逆に「わかるわけがない」と否定に走ってみたり。お互い思い合っているはずなのに、言葉が足りずにすれ違ってしまうことも。誰も悪くないのにうまくいかないことって、生きていると山ほどありますよね。自分の不満や怒りを真正面からぶつけられたらどんなに楽か。人間の理性的で善良な部分と、醜い部分と、どちらもあって当たり前。善人でも悪人でもない、ずるい部分ももろい部分もしっかりと描写されていて、深く共感できる内容でした。印象的だった箇所をまとめてみました。
巻末の対談も◎
巻末には、あとがきでも解説でもなく、著者の窪美澄氏と作家の加藤シゲアキ氏の対談が掲載されています。お二人とも魅力的な作家さんだなあと改めて感じました。
まとめ
窪美澄氏の作品を読んだのは今回が初めて。すっきりと読みやすい作風だなと感じました。「ふがいない僕は空を見た」なども窪氏の作品ということを知ったので、読んでみようと思いました。また、この短編集の中の「かそけきサンカヨウ」は映画化もされているとのことで、要チェックですね。アラサー女性にグッとくる「水やりはいつも深夜だけど」ぜひ読んでみてくださいね!
最後までご覧いただき、ありがとうございました!